設計事務所の仕事-高さのとらえ方-

家づくりを始めるにあたって、多くの人が方眼紙などに間取りを書いたことがあるのではないでしょうか。最近は簡易なソフトも多く出回っているので、簡単に間取りができあがり便利になってきています。

日本の場合部屋の広さを表す時に、「○○畳」といった表現が多く使われており多くの人が大体の広さをイメージできます。しかし、高さについては部屋の天井高さが2m40cmなのか、2m60cmなのかを感覚としてとらえている人は少ないのではないでしょうか。

「少し天井が低いなぁ。」とか「天井が高くて気持ちいい!」といった感想は持つと思いますが、普段の生活している中では特に問題がなければ通り過ぎてしまう事柄だと思います。

そのような中で、設計事務所の仕事として胆になることの一つが「高さのとらえ方」です。

建築をつくっていく上で「高さのとらえ方」はその建築を決定づける非常に大切な事柄です。

高さ関係のバランスが上手にとれている家と取れていない家とでは、その住み心地及び快適さにおいてその差が歴然と違ってきます。

設計事務所が作成する図面の中で、断面図を詳しく書いた図面を「矩計図」(かなばかりず)といいます。この図面は建物をつくっていく上で非常に大切な図面で、経験が浅い内はなかなか触らせてももらえません。

矩計図にはその建物のエッセンスが凝縮されており、矩計図をみれば設計者が何を考え、どういう建築をつくりたいのかがよく解ります。

より良い住まいづくりを目指すのであれば、単に間取りだけにとらわれず、高さ方向も加味した空間構成をよく練ること。それが、より快適でより心地いい住まいへの第一歩になると思います。

2010.11.03